縮緬(ちりめん)

 細かい凹凸(しぼ)が特徴の絹織物。経糸に平生糸を用い、緯糸に右撚りと左撚りの強撚糸を二越ずつ交互に打ち込んで平織にした後、精錬して糊や不純物を除去する。このとき緯糸の撚りが戻って糸がのび、その結果布面に凸凹ができる。この凸凹のしぼが縮緬の特色である。

 上杉景勝所用と伝えられる上杉神社の鎧下着に、無地紅の縮緬を使ったものがあり、これが渡来縮緬のもっとも古い遺例といわれている。江戸期の唐船貿易の記録を見ると、寛永十人(一六四一)年には、縮緬総量で約五万二千反が輸入されている。そのうち約半分は、「赤縮緬」という品目で記録され、既に染色された形で入ったものが多いことがわかる。

  西陣での生産が軌道に乗っていたと考えられる元文五(一七四〇)年にも、二万反以上が記録に残り、縮緬需要の多さが想像できる。既に「友禅」の染め技法も確立され、染め生地としての縮緬が求められたことは、「赤縮緬」が約五百反と激減していることからもうかがえる。

  その後、西陣以外の各地で縮緬が生産されるようになった江戸後期、文化九(一八七二)年にいたっても、記録に残るだけで三千反以上。その中には「新種縮緬」「新種紋縮緬」などの記名も見られ、輸出する中国側も、日本の好みの変化に対応しようと努力したこともうかがえる。

 縮緬も『女鏡秘伝書』にも「縮緬もしなやかにふりのよきものなり、これもしわよらず、染   めようさまざまあるべし」とあり、重宝された。一七世紀後半にさまざまな文様染がおこな   われるようになると、優れた染色効果をもつ縮緬の需要はますます伸びた。とりわけ色   挿しやぼかしの微妙な色合いを特色とした友禅染は縮緬と相性がよかった。しぼの乱   反射は染料の色に深みをあたえ、友禅染の美しさを引き出した。

  

 

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