日本の意匠
について
椿

薔薇

撫子
蜻蛉
 



古今集巻一、春の歌のはじめに近いあたりに、梅の花の歌が十数首並んでいる。
梅は万葉集においても、萩に次いでたくさん詠まれた花だが、梅を賞美したのは、多く大陸風の文人趣味で、天平二年大宰帥(だざいのそち)大伴旅人の宅で梅見の宴を催して梅花を歌に詠んだことが、万葉集巻5に出ている。
そこでは梅はもっばら花の美しさが詠まれていて、梅が香が詠まれることはなかった。

時代は下って、古今集の歌人たちは、梅が香のゆかしさを歌に詠んだ。

    題しらず  読人しらず
  色よりも香こそあはれとおもほゆれ誰が袖ふれしやどの梅ぞも
  (古今集、巻一、三三)

自然の梅の香に、高貴な女人の衣の袖の香を連想し、「誰が袖触れし」と言い表し、「誰が袖」という言葉に艶なる余情残心がただよう。

 春の夜、梅の花をよめる  
凡河内躬恆  おほしかふちのみつね

  春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる
  (古今集巻一、同、四一)

これも梅の香りを詠んだ歌で、梅の花の美しさや色は主題になっていない。
時代による花の扱いの違いが興味深い。


着物・帯のデザインにも梅は多く用いられている。晴れ着から普段着に至るまで、様々なデザインが見られる。